2014年4月7日月曜日

第5層プロトコル

http://startupboy.com/2014/04/01/the-fifth-protocol/

「ちょっと待って・・・決心しないと。このスノウ・クラッシュってやつは、ウイルスなのか、ドラッグなのか、それとも宗教なのか?」
フアニータは肩をすくめる。「何の違いが?」
—スノウ・クラッッシュ


暗号通貨は次世代のインターネットを支える第5のプロトコル層を創りだすだろう。

人間は、他の人間と取引する際に数学を基盤とする暗号通貨を「必要としない」。われわれはゆっくりと歩き、ゆっくりと話し、大きな買い物をする。クレジットカード、現金、銀行送金、小切手・・・世の中に問題はないように見える。

一方、マシンたちは情報を交換するにあたって、はるかにおしゃべりで素早い。インターネットプロトコルの4つの層は常に通信を行っている。リンク層はパケットをケーブル上に送り出す。インターネット層はネットワーク上でパケットを交通整理する。トランスポート層は特定の会話において通信を持続させる。そしてアプリケーション層は文書やアプリケーション全体を配送する。

このおしゃべりな、匿名のネットワークは資源を「安すぎて測れない」ものとして扱う。データを転送する巨大な通信網であるが、価値を転送することはしない。DDoS攻撃、スパムメール、混雑したVPNがその結果だ。名前とアイデンティティは上帝たちに支配されているーICANN、DNSサーバ群、Facebook、Twitter、そして認証「当局」たちに。

データのみではなく、価値を交換するプロトコル層はどこにあるのだろう。稀少な資源をおしゃべりなマシンたちの間で分配するための、分散化され、匿名で、認証不要のシステムはどこにあるのだろう。この「仮想経済」を創りだす「仮想通貨」は、どこにあるのだろう。

取引がほぼ即時に、匿名で、かつ極小の手数料で完了するQuickCoinというものがあるとしよう。SMTPは、スパムを根絶するためにQuickCoinを要求すればいい。ルーターは、DDoS攻撃を防御するためにQuickCoinを取引すればいい。Torゲートウェイは、通信を匿名でルーティングするためにQuickCoinを要求すればいい。マシンたちは中央集権化されたDNSとOAuthサーバ群をバイパスし、所有権を認証するのにコインを使えばよい。

一種類のコインでとどまる理由はない。十数種類の新たなAppcoinたちを考えてみよう。アプリケーション固有のコインを使えば、事前採掘した分をオープンソース開発者たちへの報酬にすることができる。Tor利用者は開発者やゲートウェイにTorCoinを支払うことができる。それはバンド幅による証明(proof-of-bandwidth)によって合意に達するコインだ。稀少なネットワーク資源は何であれ、このやりかたで割り当てることができる。たとえば、ストレージはBoxCoinで、キャッシュはCacheCoinで、などなど。

ほかのネットワークについて考えてみよう。完全に分散化された小規模発電機からなる電力網は、脱中心化され認証不要の暗号通貨を使って電力を互いに取引することができるだろうか。コンピュータが自動運転する車は、追い越し車線へ移る権利を取引することで渋滞を回避することができるだろうか。道路を横断する群衆は、信号待ちをしている一台の車から優先権を譲ってもらうことができるだろうか。彼らの携帯電話が、その存在を認証不要かつ確実なやり方で投票するなかで。水道や電力のような資産のネットワーク、また汚染物質や下水のような負債のネットワークを、分散化されたグリッド上で効率的にルーティングすることができるだろうか。株式や金融資産をブローカーや管財人、代理人なしに取引することができるだろうか。

暗号通貨は電子的な金であり、そしてそのようなものとして、電子的なエージェントによって価値を交換し、契約を認証し、アイデンティティと評判を追跡するために利用されるだろう。突如として、ビットコインマイナーたちによって使用されている計算機資源は無駄に費やされているわけではないように思えてくる。混雑の制御と他のネットワーク資源のルーティングに用いられうることを考えれば、それは効率的に見えてくるのだ。

暗号通貨はインターネットの創発的特性だ。ほとんど第5層のプロトコルであるといっていい。もしSatoshi Nakamotoがいなかったとしても、その発明は依然として必要だっただろう。いつの日か、暗号通貨はわれわれのネットワーク上のマシンたちによって利用されるようになるだろう。机の上で、ガレージで、そしてポケットのなかで、目のくらむような速さで、匿名で、そして最小のコストで価値を交換し、合意に達するために。

その日が訪れるとき、われわれが依存する大規模分散ネットワークは変化をとげるだろう。インターネットからはじまり、今日よりはるかに知的なものとなった、脱中心化された市場経済に。人類の脳が、自らに関連しない人々と交易し、品々を交換する能力と共進化したように、ネットワークは関連しないノードと通貨や契約を取引することを学ぶにつれ、より知的になっていくことだろう。

最終的には、インターネットあるいは物のインターネットは、暗号通貨の深い統合なしには機能しないようになるだろう。この第5層のプロトコルを切ることは不可能になるだろう。暗号通貨は価値の交換と貯蔵のための媒体としてもありつづける。資本規制を行う国民国家は困難に見舞われることだろう。暗号通貨を禁止すれば、技術のごみ箱のなかで生きることになる。暗号通貨を許可すれば、このウイルス、この宗教、このプロトコルは、金と言語の自由な流入を可能にする。パケットとともに、世界全体から。

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